パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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オランド大統領の環境・エネルギー政策の表明について

9月14日及び15日の2日間にわたって開催された「環境会議」の中で、オランド大統領は、環境・エネルギー政策の基本方針について演説を行いましたので、下記の通り報告します。

■オランド大統領の演説要旨
・【原子力関係】フェッセンハイム原子力発電所(アルザス州内オ・ラン県に位置する原子力発電所。1977年に運転を開始した仏国内最古の原子力発電所で、老朽化による安全面の不安を指摘されている。)を2016年末に閉鎖する予定。また2025年時点で原子力の電力全体に占める割合を、現在の75%から50%へ削減させる。

・【シェールガス開発】任期中は探査許可を与えない方針(7つの開発認可申請を却下)。
・【エコ住宅】住宅の地熱利用設備の向上[la rénovation thermique des logements]については、年間100万戸、任期中に400万戸の工事という目標を設定。
・【自動車】ボーナス・マルス[bonus-malus]制度(エコカーの購入者に対しては補助金を支給し、エコカーではない車、つまり二酸化炭素排出量が大きい車については課税する仕組み)については、補助金支給を受けられる区分を、従来よりも5g/km引き下げると説明。
・【再生可能エネルギー】風力発電の開発促進。海上の風力発電の開始。
・【CSR】上場企業に義務付けが限定されず、一定規模以上のすべての企業に適用させる予定。


■≪参考≫環境グルネル会議の達成状況
一方、2007年にサルコジ前政権下では、ジャン・ルイ・ボルロー(Jean-Luis BORLOO)環境大臣を筆頭に、環境NGO、地方団体、企業団体らによって構成された「環境グルネル会議」が開催され、「新たな環境政策」を発表していたが、今後、同会議の2020年に向けた目標の達成について難しい局面が予想される(Les Echos他)。報道等では以下の通り、状況が取り上げられている。
・上記政策は建物、輸送、エネルギー、農業、廃棄物の分野に分かれている。しかし、オランド政権に交代し、現時点(2012年9月)において、2020年時点までに達成すべき目標の達成状況について、すでに多くの尺度で達成が難しくなっている。
・輸送部門(海運除く)に関して、温室効果ガスを2020年時点で4分の1に削減するという目標については、現状では燃料消費が微減に留まっていることを考えると目標達成は難しい。一方、公共交通機関の利用拡大は順調に進んでおり、移動に占める公共交通機関のシェアは、2006年の14.5%が2011年には16%へ上昇している(2020年の目標は25%)。
・建物に関する土地利用(人工物に覆われた地表面の割合が基準年である2006年時点を現状で上回っている)や有機農業の振興(農地に占める割合20%の達成が目標だが、2011年にはわずかに3.5%)、殺虫剤の利用抑制などでも、目標達成が困難になっている模様。
参考:エコロジー・持続可能な開発・エネルギー省HP、Les Echos紙

(パリ事務所所長補佐 西村高則)