あなたが使う言語を選んでください

パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

A+ A A-

JETAA 文化事業「花」と「剣」の巻

2013年3月23日、24日に実施されたJETAA文化事業の様子を報告いたします。今回は、「花」と「剣」というテーマのもと、桜の歴史や植物学に係る講演会と居合道のデモンストレーションが実施されました

○「花」-講演会「桜の世界」
3月23日(土)パリ日本文化会館にて、元JET参加者のソフィー・ルベール氏を講師に招き、講演会「桜の世界」が開催されました。彼女は、1995年から1997 年まで香川県の国際交流員(CIR)を務め、日仏自治体の交流に貢献しました。現在は、香川県高松市の姉妹都市であるトゥール市に在住しています。彼女は、日本の滞在を通して培った日本文化、特に日本庭園や植物学の知識をいかして、フランスにおける日本文化の情報発信を行っています。また、高松市とトゥール市の交流においても引き続き活躍をしています。当日、150席ある会場のホールは満席となり、キャンセル待ちの人が列をつくるなど、桜に対するフランス人の関心の大きさに驚きました。黒瀬パリ事務所長、在仏日本大使館の田中一等書記官の挨拶の後に講演が始まりました。講演の内容は、日本の桜の種類からはじまり、桜の歴史、花見の歴史など、日本人が聞いても非常に興味深い内容でした。来場者は、彼女の巧みな話し方に引き込まれつつ、熱心に講演に聞き入っている様子が印象的でした。講演の結びには、日本の自治体と姉妹都市を提携しているフランスの自治体にも桜や日本庭園があるという紹介がされ、その規模に大小はあるものの、日本人の我々にとっても大変温かい気持ちになりました。講演終了後も、ソフィーさんに対して参加者から多くの質問が寄せられるなど、大盛況のうちに終えることができました。

○「剣」-居合道
3月24日(日)パリ国際大学都市日本館にて、誠心館館長の太田誠二先生を講師に迎えて居合道の講習会が開催されました。今回の講習会におけるきっかけは、元JET参加者イライザ・ミーカーさんが居合道を始めた際に、熊本県で太田先生の指導を受けており、彼女が誠心館フランス分館を開くことが縁となって講習会が実現したものです。彼女は、熊本県で1994年〜1997年、外国語指導助手(ALT)を務め、学生の語学力向上に貢献しました。現在は、国際弁護士として活躍するとともにJETAA FRANCEの会長を務めています。彼女は、日本の滞在を通して培った日本文化、特に居合道や熊本民謡の知識や経験をいかして、フランスにおける日本文化の情報発信を行っています。講習会の当日は、公開昇段審査から始まりました。二人のフランス人が太田先生の前で居合を披露したのち、学科試験に臨みました。実は、この二人の師匠はミーカーさんであり、非常に神妙な面持ちでその結果を見守っていましたが、見事に二人とも合格となりました。ミーカーさん自身も居合の演武を行い、また、参加者に居合道や日本刀の説明を行いました。太田博文剣士(太田先生のご子息)そして、太田先生の居合演武では張り詰めた空気の中で、約40名の来場者は息を飲みながら見入っていました。今回の事業においても、在仏日本大使館の協力を得て実施しておりまして、この場を借りて感謝申し上げます。

○日本文化に関心を寄せるフランス人
昨今のフランスにおける日本ブームについては、既によく知られているところでありますが、アニメやポップカルチャーだけでなく、日本文化の精神を学びたいと思うフランス人も増えてきた気がいたします。例えば、ソフィー氏の講演では、桜の開花は日本における米の作付け時期に大きく関係しており、「田植え桜」や「種蒔き桜」という言葉があるという歴史的に掘り下げた見地から説明があり、また居合道においても、フランス人剣士達は、ただ単に日本刀がかっこいいというだけでなく、「武神に拝礼、刀に対し礼」という武士道の文化・精神性を尊敬しているとのことでした。最近では若手の知識人や芸術家、映画監督なども、日本特有の美的感覚に魅せられている傾向があるようです。今後、日仏交流については、以前にも増して「文化の相互交流」がキーワードになってくると思われます。

○JET参加者は日仏交流の宝
今回2つの事業の紹介をいたしましたが、いずれの事業もJET参加者の成長と活躍が特筆されるものでした。日本の滞在経験を活かし、JETの任務を終えた後も、継続をして日仏交流の架け橋なり、日本文化情報発信を行っている姿から日本文化の伝道師とも言える心強い存在です。このように、彼らは日仏における文化交流や、自治体間交流においてキーパーソンとなっており、今後もその役割は非常に大きいものになると考えられます。最後にフランスJET参加者の活躍する機会が少しでも増え、日仏交流の更なる推進力となることを願ってまとめとしたいと思います。
パリ事務所では、今後もJETAAと連携し、日本文化や日本の地方自治体の情報発信において積極的に事業を展開していきたいと考えております。また、フランスでの事業展開や国際交流をご検討の際にはぜひお気軽に当事務所までご連絡ください。

(パリ事務所所長補佐 原田知也 群馬県富岡市より派遣)

Tagged under: JETプログラム 文化