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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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オルレアン市、水の大切さを学ぶボードゲームを大野市、パラクー市と共同製作

 パリからTGVで1時間ほど南に位置するジャンヌ・ダルクで有名なオルレアン市は、水を通じた国際協力に取り組む福井県大野市、アフリカ・ベナンのパラクー市と協力し、水の大切さと水の普遍性を学ぶボードゲームを製作した。

 

 ボードゲームの名称は「P₂Oと一緒に青い宝石を守ろう!(SAUVONS L’OR BLEU AVEC P₂O)」で、日本、フランス、ベナンに割り当てられた3人のプレイヤーが世界の水を使い、それぞれの国の家庭、農業、工業、観光を発展させていくゲームとなっている。「P₂O」とは、水を表す分子記号H₂Oにゲームを製作した3市(パラクー市(Parakou)、オルレアン市(Orléans)、大野市(Ono))の頭文字を当てて生まれたキャラクターの名前であり、「青い宝石」とは「大切な水」を意味している。世界の水には限りがあるため、プレイヤーは互いの国を理解し、助け合いながら、4つのテーマから成るクイズに答え、各産業を節水化したり、別の国と産業の技術を交換するなどの工夫をしながらゲームを進めていき、水を使いすぎると全員がゲームオーバーになってしまうという、水に関する知識を楽しく取得しながら、同時に異文化を理解し、国際感覚の向上や国際交流・協力の促進をも期待できる内容になっている。

 3市は、持続可能な水資源管理や若い世代を対象とした環境保全啓発活動に長年にわたり取り組んでいる。特に大野市は、豊富な地下水に恵まれた名水のまちであり、地域資源である水の保全対策に取り組んできたほか、「水への恩返し Carrying Water Project」として東ティモールへの6基の給水施設の整備支援、水を学習する子ども向けの本の製作など、数々の事業に精力的に取り組んでいる。また、2018年3月には、フランスの広域行政組織「エロー地中海都市圏共同体」との間で、世界の水問題に関し連携した取り組みを実施するため「水分野での協力に関する覚書」も締結した。

 2017年11月、大野市がオルレアン市を訪問し、同市の取り組みに関するプレゼンテーションを行ったことをきっかけに、両市間で水と環境をテーマとした交流が始まった。一方、オルレアン市は、パラクー市との間で1993年より水分野における国際協力(※)に取り組んできており、こうしたことから2018年11月、3市はボードゲーム製作プロジェクトを開始した。

 ボードゲームのデザイン、コンセプト、ルールなどはすべて3市の担当職員がメールやウェブ会議により協議して製作しており、ゲームの中で出されるクイズの作成には各市の子どもたちも参加。オルレアン市では、アラン=フォルニエ中学校の生徒がクイズの作成に協力した。月に一度程度開催されるスカイプ会議はフランス語により行われ、大野市ではJETプログラムのCIRであるマチルド・クロワ氏が窓口となることで円滑なコミュニケーションや調整が可能となった。

 オルレアン市では、このボードゲームを8月末に開催されたボードゲーム祭りで披露したほか、学校、学童保育、若者対象のNPOなどに対し今後無償で貸し出すとしており、11月20日から29日にかけて予定されているオルレアン・パラクーパートナーシップ週間でも市民が試す機会を作る予定としている。

 今回のボードゲーム製作は、3市の都市間交流をさらに深化させる取り組みであるとともに、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール6(水・衛生)やゴール13(気候変動)の達成にも貢献するものと考えられ、今後の3市の取り組みが期待される。

(※)フランスの地方自治体では、支援先である海外の地方自治体との間で協定を結び進められる。両市では、井戸掘削、既存の井戸の修繕、水供給施設の運営維持管理の支援活動を行うほか、農業従事者や、職員、学生などに対する水教育推進にも力を入れている。

ボードゲーム

3市が製作したボードゲーム「P₂Oと一緒に青い宝石を守ろう!」

 

〇オルレアンメトロポールHP:

https://www.orleans-metropole.fr/actualites/detail/sauvons-lor-bleu-avec-p2o?fbclid=IwAR30DvBqKQHwnXYqCb014C_QLSKbtW6oTAaPoxhuXCdnSoaPSizFqfzJD3o

〇大野市HP:

https://www.city.ono.fukui.jp/kurashi/kankyo-sumai/chikasui/boadgame.html