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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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史上初!自治体関係見本市「サロン・デ・メール」がオンライン開催

フランスの地方自治体関係者の課題の共有と解決を目的とした見本市「サロン・デ・メール(Le Salon des Maires et des Collectivités Locales)」が、11月24日から26日まで開催された。サロン・デ・メールは全仏市長会(Association des Maires de France(AMF))[1]の総会に併せて毎年11月にパリで行われ、フランス全土3万4千以上のコミューンから大勢のメール(市長)が訪れる大規模見本市である。コロナ禍により今回の出展こそ見送られたものの、地方自治体のトップに直接自らの活動をPRし、またフランス地方行政におけるホットトピックスやサービスを把握できる絶好の機会として、クレアパリも毎年この見本市にブースを出展しフランス自治体と様々な「ご縁」を結んできた。

 

※昨年の出展の様子はこちら

https://www.clairparis.org/ja/clair-paris-blog-jp/blog-2020-jp/1371-2020-01-20

「2030年を見据えた持続可能な都市と国土」( villes et territoires durables horizon 2030 )をテーマとする今年のサロン・デ・メールは、同見本市史上初となる100%デジタル形式で開催された。フランスにおいてコロナ禍の第2波が猛威を振るう中、見本市会場での開催が直前まで調整されたが、10月末にはフランス政府から2度目となる外出制限措置が導入されたこともあり、本番まで1か月を切ったタイミングでの全面デジタル形式への変更となった。なお、同時期開催予定であったAMF総会には6月のコミューン選挙で選出された多くの新メールが参加することが期待されていたものの、残念ながらこちらは会議の中止が決定した。

急遽オンライン形式への変更となったにも関わらず、首長やコミューン議員ら約950名、及び約300の出展者関係者等を含む4,000名以上が参加し、グロー自治体関係担当大臣が登壇するカンファレンスやウェビナーなど100近いプログラムも行われた。これらのプログラムは見本市期間中にデジタルプラットフォームで配信されたほか、後日リプレイで視聴することもでき、時間を気にすることなく様々なプログラムにアクセスすることが可能となった。また、このデジタルプラットフォームでは、行政課題の解決策を求める訪問者と解決策の提供者である出展者とのコンタクトを促進するマッチング機能が実装され、見本市への参加登録時に入力する業種や関連政策分野、自治体名等のキーワードからコンタクト希望者を検索してアポイントメント依頼を直接申し出ることができる仕組みが採用された。これは、従来の見本市が出展ブースへの訪問者との偶発的な出会いを中心に「ご縁」を結んできたこととは異なり、訪問者、出展者双方からの能動的なアプローチを可能とする興味深い試みとなった。このようにオンラインならではの利点が多分に発揮される見本市となったことで、次期見本市への影響も注目される。

コロナ禍での開催となったことから、プログラムには衛生危機や健康をテーマとするものも多く見られた。クレアパリはフランスの市街地活性化政策に関するウェビナーなどに参加したが、市街地活性化政策に関するウェビナーでパネリストを務めたフランス南西部ピレネー・アトランティック県都市計画機関[2]責任者のドゥニ・カニオー氏は、コロナ危機が商業関係者に与えた経済的損失は非常に大きなものであった一方、外出制限下においては近隣に商店があることで容易に買い物が可能となり、また、社会的なつながりが希薄となる中、商店主との交流がそれを埋める一助となっていたと振り返り、市街地の商店街の存在意義を再認識することができたと強調していた。

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デジタル見本市を案内するサロン・デ・メールのトップページ

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市街地活性化政策に関するウェビナーに参加するクレアパリ職員

 


[1] AMFとは、1907年の創設以来100年以上の歴史を持つ団体で、フランス国内34,000以上の市長(メール)や広域行政組織の議長らで構成される組織。地方分権の推進や地方に移譲された権限を自治体が適切に遂行するための法的・財政的基盤を強化するために活動する。

[2] 都市計画機関(Agence d'urbanisme)は、都市整備、住宅、モビリティ、経済等の都市計画の専門家で構成される非営利社団。行政とパートナーシップを組み都市計画文書の作成補助等の技術的サポートを行う。