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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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九州-仏ディジョン、福島県-独NRW州など、日欧地域連携の好事例が続々登場

クレアは、日本と欧州の間で地域の産業連携(地域の産業クラスター、自治体等による産業面における連携)を促進するため、2020年11月から新たにCEEJA(アルザス欧州日本学研究所)と協力して「日欧地域連携ヘルプデスク」を開始しました。ヘルプデスクの詳細な内容については前回ブログをご参照ください。

2021年1月8日 にヘルプデスクとして第1回ウェビナーを開催しました。

第1回ウェビナーでは、10年間にわたり農業・食品産業イノベーションに関してWINWINな関係を築いてきた、九州地域バイオクラスター推進協議会(KBCC)とヴィタゴラ(仏、農業食品イノベーションクラスター)との地域連携の好事例を取り上げました。

九州地域バイオクラスター推進協議会プロジェクトマネージャーの森下惟一氏とヴィタゴラ国際開発担当課長のベェランジェル・モワンドロ氏からの講演では、日本という新しい市場に参入する際には、日本の自治体など公的団体との連携が重要であることや10年にわたり日仏間で視察訪問や商談会の開催などを続けてきた結果、フランス産の家畜の健康に配慮した飼料を生かした九州の事業者による日本市場にあわせた商品が開発され、日本でも使用されるようになった事例等が紹介されました。

さらに、2020年10月には熊本県産業振興局産業支援課内にヴィタゴラの日本オフィスが開設され、この日本オフィスを拠点に、今後さらに販路開拓や商品開発の点で連携を強化していくことが報告されました。

講演に引き続いてのパネルディスカッションには、ご講演いただいたお二方に加えて国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構研究管理役の後藤一寿氏とヴィタゴラ日本オフィスの小倉ルメートルはなえ氏にもパネラーとしてご参加いただきました。

パネルディスカッションでは、言語や文化などの課題もあるので、時間はかかるが相互理解を進めて信頼関係を構築することが重要であることや、日本の産業振興では地方自治体が大きな役割を果たしているが、KBCCとヴィタゴラの好事例に見るように行政のみならず民間部門も積極的に活動をしてこそ、WINWINと呼べる連携関係を築くことができること等への言及がありました。

1月26日には、第2回ウェビナーを開催しました。

第2回ウェビナーでは、「再生可能エネルギーと地域活性化に向けて発展するパートナーシップ」と題して、再生可能エネルギー分野で連携協定を締結している、福島県とドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州(以下「NRW州」)を取り上げました。

冒頭、まず日欧産業協力センタータクシドゥポエット専務理事から、再生エネルギーに加え地域活性化は日欧に共通する重要な課題であり中小企業を巻き込んだ地域連携の重要性と期待が示されました。福島県産業創出課堀江直宏課長及びNRW州経済イノベーション省エネルギー産業技術担当部長Marlies Diephaus氏からは、両自治体が連携に至った背景やNRW州の2050年までの気候中立達成などその政策目的が紹介されました。

次いで、連携の具体的な内容を担う両エネルギーエージェンシーのプレゼンテーションが行われました。

エネルギーエージェンーふくしま服部靖弘代表の講演では、福島県が2040年頃には県内エネルギー需要を100%再生可能エネルギーにより供給する目標に向けて再生可能エネルギーを復興の柱として掲げ、2017年にNRW州の勧めにより、専門的で継続的な関係構築のため、エネルギーエージェンーふくしまを設立し連携を進めてきたこと、またこの連携により、様々な日独企業間の協業が生まれるとともに、郡山市(福島県)とエッセン市(NRW州)や福島大学とミュンスター大学(NRW州)との連携につながっていること、さらには郡山市とエッセン市との連携にはJETプログラムにより福島県で経済交流員を務めた経験のあるタイゼン剛氏が尽力したことなどが紹介されました。

同じく、エネルギーエージェンシーノルトライン=ヴェストファーレンCEO Baumann氏から国際連携が再生エネルギーの分野では重要であることやBtoBの関係構築をなどドイツ側からの視点での講演があり、その後、講演した二氏と福島県堀江課長にエッセン市経済開発公社プロジェクトディレクタ―タイゼン剛氏及び日欧産業協力センター気候変動担当プロジェクトマネージャーStéfan Le Dû氏、羽白クレアパリ事務所長が加わり、パネルディスカッションが行われました。

このパネルディスカッションでは、連携する双方の政策決定者である自治体のトップが定期的に面会して信頼関係を構築し、共通の目標を持って連携の方向性を定めること、連携を担当する専門組織を置いて継続的に活動を続けること、見本市など双方の関係者が参加できる場を設けること、政府、企業、大学など様々な関係者を巻き込んだネットワーク構築などが連携関係を成功に導く鍵となること等の言及がありました。

また、福島は風力発電の観点でハンブルグ州やバスク州等との連携も展開し、NRW州も他の欧米との連携を進めている両エネルギーエージェンシーとも国際連携を地域活性化に活かしている具体的な事例が紹介され、EU諸国の地域は、組織も人材も成熟していて日本が連携する際には非常に信頼できる良いパートナーとなるといった助言もあり、日欧地域間での産業連携を目指す参加者にとって有意義な内容となりました。

クレアから、ジェトロなど在外日系公的機関への職員派遣による人材育成や文化や言語の課題を低減できるJETプログラムの活用による人材面の取組も鍵の一つと紹介されました。

日欧地域連携ヘルプデスクでは、今後もオンラインでの、ウェビナー、ウェブカンファレンスやマッチング・イベントを開催予定です。ご関心のある方は、下記よりご登録いただければ、今後も最新のニュースをお届けします。

https://www.ejrc-helpdesk.eu/ja/register

 

関係URL

(第1回ウェビナー)

●九州地域バイオクラスター推進協議会

http://kyushu-bio.jp/

●ヴィタゴラ

https://www.vitagora.com/

●国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

http://www.naro.affrc.go.jp/

 

(第2回ウェビナー)

●福島県

https://www.pref.fukushima.lg.jp/

●エネルギー・エージェンシーふくしま

https://energy-agency-fukushima.com/

●ノルトライン=ヴェストファーレン州

https://www.land.nrw/en

●エネルギー・エージェンシーNRW

https://www.energieagentur.nrw/english/the_energyagency.nrw

●エッセン市経済開発公社

https://www.ewg.de/ewg_home.en.html

●郡山市

https://www.city.koriyama.lg.jp/sangyo_business/sangyo/kokusai/index.html

 

 image vitagora2

 写真:KBCCより、ヴィタゴラとの連携内容について説明(第1回ウェビナー)

 

fukushima

写真:エネルギーエージェンシーふくしまより、エネルギーエージェンシーNRWとの連携内容について説明(第2回ウェビナー)

Tagged under: 経済活動