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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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ブリュッセル首都圏事務総長組合のセミナーに参加

 2022年4月21日、クレアパリは、ベルギーで開催されたブリュッセル首都圏事務総長組合(FSCB:Fédèration des Secrétaires Communaux Bruxellois)のセミナーに参加しました。このセミナーは自治体の事務総長らを対象としたもので、各種の政策課題をテーマに様々な講演が行われました。

 福祉政策をテーマにした講演では、社会福祉センターと行政窓口を一体化した公共施設が好事例として紹介されました。この施設では、料理など、趣味のアトリエが開かれている施設の中に行政窓口を設置することで、福祉関連の施設や制度の利用に心理的な抵抗を覚える人でも窓口にアクセスしやすくなるというメリットが生まれていることが説明されました。日本でも、DV(ドメスティックバイオレンス)や生活困窮に苦しむ住民が、行政窓口への相談に抵抗を覚えるために、行政による保護を受けられないという事例が多くあります。そのため、この取組は日本の自治体においても活用の可能性があると感じました。

 また、この施設がある自治体では、15年前と比較して人口が10,000人以上増加しています。この人口増加は主に移民の増加に起因するもので、この施設では彼らが地域に溶け込めるよう、アトリエで地域の音楽を教えたり、彼らの職探しを手伝ったりしているそうです。

 別の講演では、コロナ禍での緊急対応をテーマに活発な議論が行われました。講演では、ベルギーには緊急事態に対応するための法律がないため、緊急措置について法整備のないまま憲法解釈で対応し、憲法の効力停止という事態を避けることができた、という研究者の発表がなされました。これに対し、法的根拠がない措置の執行を強いられた行政からの苦言も示され、各参加者の立場の違いを反映した様々な見解を聴くことができました。

 なお、クレアでは、海外の自治体や団体の幹部職員を日本の地方自治体に招き、意見交換等をとおして日本の地方行政施策に対する理解を深めてもらうことを目的とした『海外自治体幹部交流協力セミナー』を実施しています。そのうちクレアパリ管轄地域の幹部職員が参加するセミナーは、今年3年ぶりに現地開催される予定で、FSCBからも1名参加することになっています。今回のFSCBセミナー参加に際しては、FSCBとクレアパリの連携を再確認し親交を深めることもでき、実りの多い時間となりました。

 

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セミナー会場となったMartin's Château du Lac(近写)

 

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セミナー会場となったMartin's Château du Lac(遠写)

 

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セミナーの様子

 

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セミナー会場建物内中庭の様子