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パリ事務所(クレア・パリ=CLAIR PARIS)は、日本の地方団体のフランスにおける共同窓口として、1990年10月に設置されました。

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広島県産かきのEU市場参入への取組について

かき

広島県産かき

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広島県産かきの収穫の様子

広島県商工労働局観光課

 

日本における急速な人口減少に伴い日本国内の市場が縮小する中、企業が存続し、発展し続けるためには、安定的な利益の獲得が必要であり、その対策の一つとして、海外市場への販路拡大が挙げられます。

こうした中、広島県では農林水産物をはじめとした県産品の販路を海外に求め、県内企業の海外進出を後押ししてきました。高品質な県産品に対する海外からのニーズは高く、さらに日本食への関心の高まりも追い風に輸出は増加傾向にあったものの、日本国内における輸出競争もまた激しさを増していました。

そこで、広島県は、2021年度から複数品目への分散投資ではなく、地域ブランド力のある県産品を重点的に支援することとし、広島県が国内生産量の約6割を占め、海外からのニーズも高い『かき』を、アジア市場を中心に売り込む方針を固めました。この背景には、かきが「広島県」のブランド価値をも向上させるポテンシャルを持ち、競争優位を獲得できる産業であるとの考えがあります。

アジア市場への参入においては、現地の販売パートナーの発掘を進めるとともに、国内において卸売業者や輸出業者と連携して物流の整備を進め、安定した供給体制の構築にも平行して取り組んでいます。

広島県では、2019年時点で7.0億円であったかきの輸出額を、2025年までに12.6億円まで伸ばすことを目標としており、2021年にはすでに10.1億円を達成しました。

一方で、今後さらなる輸出額の増大を図るためには、アジア市場のみに依存していては実現が困難であることから、アジア市場での継続した販路開拓に加え、新たな市場の開拓が不可欠です。そこで、広島県は、全世界におけるかきの輸入額の約3割を占めるEU市場を新たなターゲットに定めることとしました。

ノルディック社との商談

輸入業者との商談の様子

市場での商談

水産市場との商談の様子

EU市場に参入するためには、HACCP(ハサップ)原則を取り入れたEU規則を遵守することが必須となります。HACCPの目的は消費者への潜在的な健康リスクを持つすべての要因を体系的に特定し、回避することですが、この世界で最も厳しいと言われる衛生管理基準をクリアし、令和5年1月、広島県尾道市のクニヒロ株式会社がHACCP認証を取得しました。日本国内で初となるEUへの輸出が、ついに開始されることとなりました。

これを契機に、広島県はEUでのプロモーションをスタートしました。2月にはフランスのパリで開催された「セボン・ル・ジャポン」に出展した他、現地のレストランシェフなどとも商談を行いました。世界最大のかき養殖国であり、消費国でもあるフランスにおいても、県産かきは総じて高い評価を得ることができました。

イベント会場

第9回セボン・ル・ジャポン

イベント会場内

第9回セボン・ル・ジャポンのイベントの様子

 

今後は、さらなる輸出の加速化に向けて、県産かきを継続的に嗜好する消費者の増大が課題となります。広島県は、県産かきの知名度向上及び販路拡大に向けて、引き続き現地でのプロポーションを通じて企業をサポートするとともに、本取組を通じて、県内かき養殖業の振興、そして地域の活性化へと繋げていきたいと考えています。

■フランス語版はこちら
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Tagged under: 経済活動